中野区新中野の整形外科 リハビリテーション科 新中野整形・リハビリテーションクリニック 中野富士見町

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母指CM関節症

手関節親指側の親指(母指)の付け根部分(CM関節)に腫れ、痛み、変形が起こる病態で、母指に負担がかかる動作で症状が出やすいです。

病状が進行すると、CM関節部に慢性的な腫脹、変形が生じ、母指の動きも制限されます。

母指の第1関節(IP関節)が屈曲し、第2関節(MP関節)が伸展した特徴的な変形が起こってきます。

この変形は、見た目が白鳥に似ていることから、白鳥の首変形(スワンネック変形)と呼ばれています。

画像出典:日本整形外科学会 「母指CM関節症(親指の付け根の関節の変形性関節症)」

原因

原因は十分には解明されていません。

母指の中手骨近位と手関節側の大菱形骨との間が第1手根中手関節(CM関節)であり、母指が他の指と向き合ってつかむ動作をするのに必要で、大きな動きのある関節です。

実際には母指を曲げる、伸ばす、開く、閉じる、回すなどの様々な動きに関与しています。

CM関節症が起こる原因

CM関節症が起こる原因としては下記があります。

  • 仕事、スポーツ、家事、趣味などで使用頻度が高く、負担を受けやすい
  • 加齢による筋力・靭帯機能低下からの関節動揺性、関節軟骨組織の質の低下
  • ホルモンバランスの変化(特に40歳以上の女性に多くみられます)
  • 肥満、遺伝的背景、過去の外傷歴 など

症状

CM関節部の変形が高度であっても痛みがほとんどない場合もあります。

逆に変形は軽度であっても強い痛みが出るケースもあります。

変形の程度と症状の程度は相関するわけではないようです。

初期

物を握る、つまむ動作で親指の付け根に痛みが起こります。

ペットボトルなどの蓋を開ける動作、ボタンかけなどで痛みを自覚します。

中期以降

腫れ、変形(出っぱり)が起こり、進行するとスワンネック変形が起こります。

また、母指を開きにくくなったり、物をつまむ動作などが困難になってきます。

診断

ほとんどは問診・診察、レントゲンで診断することが可能です。

  • 問診・診察
    動作時のCM関節の痛み、腫れ、圧痛を確認します。具体的には、母指のCM関節に圧を加えたり、ひねることで痛みが増悪するかをチェックします。
  • レントゲン
    CM関節の骨硬化、隙間の狭小化、骨棘、中手骨亜脱臼の有無をチェックします。

鑑別が必要な病態として、CM関節よりも中枢側の舟状骨-大菱形骨間関節の変形、ドケルバン腱鞘炎、関節リウマチなどがあり、必要であれば血液検査、CT、MRIなどの精査を追加する場合があります。

セルフチェック

  • つまむ動作(洗濯バサミ、ハサミ、ホッチキス、草むしり、布団の上げ下げ)
  • 回し開ける動作(蓋、ペットボトル、ドアノブ)
  • 絞る動作(雑巾、タオル)
  • 細かい作業(ボタンかけ、書字、スマホ操作)

このような動作時に母指のつけ根に疼痛があれば要注意です。

整形外科医に相談をしてみることをお薦めします。

治療

保存的治療

まず行うべき治療は、局所の安静です。

装具、テーピングの使用も考慮しましょう。

急性期には炎症を抑制する目的でアイシング、痛み止め、ステロイド注射なども有効です。

安静目的の軟性装具は夜間のみでも使用をお薦めする場合があります。

原因の1つに女性ホルモンの変動があると報告されており、成分が類似しているイソフラボン、エクオールなどのサプリメントの服用も注目されています。(保険適用外)

幼少時から豆腐、豆乳、納豆、きなこなどの大豆製品を摂取することが発症予防、症状改善につながる可能性も指摘されているようです。

外科的治療

保存的治療で痛みが改善せず、CM関節の亜脱臼を伴う高度な変形や母指のスワンネック変形が認められ、日常生活に支障が出ている場合には、関節固定術や、大菱形骨を一部切除して靭帯を再建する切除関節形成術、中手骨外転骨切り術などが行われます。

また、最近では、動脈注入療法も保険適用外ですが注目されています。

母指CM関節症ではCM関節周囲に異常な血管(もやもや血管)が出て、神経を刺激することで疼痛が出ます。

この異常な血管を塞栓することで疼痛を緩和する治療です。

予防

日々のケアとして、入浴後などの血行が良い状態で、CM関節の屈曲、伸展を繰り返す可動域訓練を行うことがお勧めです。

当院でできること

  • 身体所見、レントゲン、エコー検査からの診断
  • 投薬、注射、補装具を使用した保存的治療
  • 専門スタッフによるリハビリテーション
  • 手術術後の回復リハビリテーション

診断から治療、その後のリハビリまで患者さんの症状に合わせて対応しておりますので、ご相談下さい。

当院でできないこと

当院では、MRIでの精査、手術加療はできません。

必要であれば専門外来に紹介させていただきます。

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