(注意:このコラムではスポーツによる骨端症(膝のオスグット病、踵のシーバー病など)とは分けて記載しています。)
成長痛とは

成長痛は、子どもに多く見られる病態です。
突然、夜間に下肢痛(大腿、膝、腓腹部痛など)を生じることが多いです。
日中には痛みが消失し、幼稚園、小学校での活動には全く問題がないことが多いのですが、夕方から夜間に痛みが出て、場合によっては痛みで泣いてしまうようなお子さんもいます。
ご家族が抱っこしてさすったり、軽いマッサージを行うことで痛みが改善し、翌朝には全く忘れているようなケースもよくあります。
好発年齢
3~5歳(2~14歳という報告もあります。)
有病率
報告には幅がありますが、2.6~49.4%とされ、高頻度です。
原因
成長期の骨、筋肉の発達に伴う負荷、活動量の多さが一因と考えられています。
200年以上も前の1800年代から子どもの成長痛に関する報告はあり、1950年代からは、家庭環境、心因性病態との関連を示唆する報告もありますが、現状ではっきりとした原因は解明されていません。
症状
『前ぶれなく突然、夕方〜夜間に下肢を痛がるが、昼間はケロッとしている』とご家族が心配されてクリニックを受診されるケースが多いです。
『抱っこしてさすったりしていたら泣き止んで寝てしまい、翌日にはなんともなくなった』となれば典型的です。
問診・診察
痛み以外にも、局所の熱感、腫脹、圧痛、可動域、上下肢、体幹の柔軟性、筋萎縮、立位、歩行、ジャンプ等の運動機能、アライメントチェックを行います。
成長痛では、異常所見は通常認めません。
異常所見を認める様であれば成長痛以外の病態も考慮する必要があります。
外傷(ケガ)、障害(オーバーユースなどの使いすぎ)なども考慮し、レントゲン、エコーによる検査を行います。
治療
成長痛に対する特別な治療はありません。
ご家族によるケア(疼痛部をさすったり、軽いマッサージ)で症状は軽快することが多いです。
お子さんが安心できることが大切だと考えます。
ケア時に外用薬を使用することも有効でしょう。
内服までは必要ないことが多いです。
推定されている原因からの予防対策
家庭環境、心因性病態との関連を示唆する報告
ご家族のコミュニケーション(スキンシップ)が大切であり有用です。
成長期の運動負荷量との関連を示唆する報告
入浴などのリラクセーション、ストレッチも有用とされています。
睡眠不足の解消

睡眠不足は、自律神経、ホルモンなどに影響し心身が緊張する時間が増えてしまうことがあり、筋肉の過緊張、血管収縮などに影響して痛みを引き起こす可能性があります。
このような場合は、足部をクッションなどで少し挙上してしっかり睡眠をとることも有用です。
医療機関受診の目安
日中も痛む、腫脹、発赤があり、徐々に悪化している場合
外傷、障害の可能性を考慮して医療機関受診をお勧めします。
発熱、全身の倦怠感、歩行できない程の痛みがある場合
高熱、歩行困難など重篤感がある場合には、MRI等の精査可能な高度医療機関への受診も考慮が必要です。
まとめ
成長痛は成長期に多くのお子様が経験する一時的な痛みで、通常は夜間に起こり、朝には軽減します。
しかし、痛みが長引く場合や日中にも継続する場合は他の病気の可能性も考え適切な診断と治療が必要です。
お子様に気になる症状がありましたらご相談ください。
注意が必要な場合
成長痛の痛みが一時的でなく、強い痛み、腫れ、発熱が伴う場合には他疾患の可能性があり注意が必要な場合もあります。
- 小児特発性関節炎:発熱を伴い、手術が必要になる可能性があります。
- 骨腫瘍、骨髄炎:夜間痛を引き起こす疾患として類骨骨腫が有名です。
- 骨端症(膝のオスグット病、踵のシーバー病)
- 変形性頚椎症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- ストレートネック(スマホ首)
- 頚椎捻挫(むち打ち損傷)、外傷性頚部症候群、寝違え
- 胸郭出口症候群
- 肘部管症候群
- テニス肘
- ゴルフ肘
- 野球肘
- 肘内障
- 肩腱板損傷・断裂
- 肩石灰沈着性腱板炎
- 肩関節周囲炎
(四十肩、五十肩) - 凍結肩(frozen shoulder)
・拘縮肩 - 頚肩腕症候群・肩こり
- ギックリ腰(急性腰痛症)
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊柱側弯症
- 胸腰椎圧迫骨折
- 腰椎分離症・分離すべり症
- ガングリオン
- ドケルバン病
- ばね指
- 母指CM関節症
- 指変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール結節)
- 手根管症候群
- ギオン管症候群(ギヨン管症候群、尺骨神経管症候群)
- 突き指・マレット指
- 膝半月板損傷
- 膝靭帯損傷
- 子どもの成長痛
- オスグット病
- 変形性膝関節症
- 足関節捻挫
- アキレス腱断裂
- 外反母趾
- 有痛性外脛骨
- モートン病(モートン神経腫)
- 足底腱膜炎
- Jones骨折(ジョーンズ骨折・第5中足骨近位骨幹部疲労骨折)
- 足部骨端症
- 扁平足(flat foot)・開張足
- 関節リウマチ
- 高尿酸血症と痛風発作
- ロコモティブシンドローム
- 骨粗鬆症
- グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)
- 大腿臼蓋インピンジメント症候群(FAI)
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